その恋、記憶にございませんっ!

 




 あの二人は上手くやっているだろうかな。

 使用人の女性たちに囲まれ、美味しくお茶をいただきながらも、裏切りの村人は時計を気にしていた。

 宮本ほど長い付き合いではないが、いつの間にか蘇芳たちに肩入れしていた。

 どうにも憎めないんだよなあ、蘇芳様も。

 あれだけ恵まれてるうえに、なんでも出来る人なのに、肝心なところで詰めが甘かったりするからだろうか。

 あんな豪勢な宿まで連れてきておいて、また唯様になにも出来なかったようだしな……。

 僕があれだけのイケメンで金持ちだったら、もっと強引に行くのにな、と唯が聞いていたら、
「もう充分、強引ですーっ」
と叫びだしそうなことを思っていた。

 しかし、此処には、さすがに厳選された使用人たちが集められているようだ。

 みんな、笑いながらも落ち着かない本田の心を感じ取っていたようで。

 最初に会った女性が微笑み、言ってきた。

「もうすぐお茶を持っていくように言われています。

 一緒に行ってみられますか?」

 可愛らしい笑顔を向けられ、本田は、上に行く本来の目的も忘れて、舞い上がる。