その恋、記憶にございませんっ!

 一体、どんな人なんだ。

 行きたくない、本気で……と思う唯の横で、蘇芳が訊いていた。

「ところで、俺たちが此処に居るって、誰に聞いた?」

 仕事の連絡が入ったときのために、携帯は持ってきていたようだが、何処へ行くとは言っていなかったようだ。

「宮本さんです」

「……相変わらず、恐ろしいな」

 実は執事じゃなくて、スパイか忍びじゃないのか、と蘇芳は呟いている。

 唯はその横でまだ、スープの入ったポットを手にしたまま、行きたくない……と固まっていた。