その恋、記憶にございませんっ!

 




 朝食は木立近くのテントの辺りか、プールサイドで、と言われたので、プールサイドでとることにした。

 籐《とう》のピクニックバスケットにサンドイッチなどが詰められている。

 器もプラスチックではなく、ちゃんとした陶器で素敵だ。

 スープも陶器のポットに詰められていて温かくて美味しい。

 いい朝だ。

 ……誠も引き上げたしな、と朝の光にきらめくプールを見ながら、唯が思っていると、

「おはようございます」
とその前にドライバーの制服姿の本田が現れた。

 幻覚? と思わず、木立やその向こうの湖を確認する。

 蘇芳の屋敷に戻ってしまったのかと思ったからだ。

「おはようございます」
と反応の鈍い二人の前で、本田が繰り返すと、サンドイッチを手にしたまま、蘇芳が渋い顔で言っていた。

「遅いぞ、本田。
 何故、夕べ来てくれなかったんだ」

 へえ? という顔を本田がする。