その恋、記憶にございませんっ!

 




 そのあと、しばらくして起きてきた蘇芳が、
「……布団、ありがとう」
と言ったあとで、

「結局、なにが正解だったんだ、唯」
と訊いてきた。

「昨日、寝る前にクイズとかしましたっけ?」
と訊いたのだが、いや、なんでもない……と蘇芳は言う。

 なんか元気がないな、と思っていると、蘇芳は窓の外、プールを指差しながら、

「ところで、あれは引き上げておかないと、宿の人間がびっくりするな」
と言ってきた。

 ビニール袋から出てしまったらしい『誠』の文字のTシャツが、うつ伏せになっている人のように、水面にぷかりと浮いていた。