その恋、記憶にございませんっ!

 




 あー、よく寝た。

 あれだけ呑んだのに、トイレにも起きずに寝るなんて。

 ベッドが久しぶりにふかふかで気持ちよかったからかな、と思いながら、ふと見ると、床に膝をついた蘇芳が自分のベッドに顔を預け、倒れるように眠っていた。

「どうしましたっ!?」
と思わず叫ぶ。

 一晩中、そこで布団も着ずに寝ていたようで、蘇芳の身体は冷え切っていた。

 そういえば、自分が蘇芳の腕を何故かつかんでいる。

「すっ、蘇芳さんっ。

 蘇芳さん、しっかりしてくださいっ!」

 眠っている蘇芳の身体を引き上げようとしたが、重すぎて上がらない。

 しょうがないので、自分の布団をうつ伏せて寝ている蘇芳の身体にかけてやった。

 私がなにかの弾みで腕をつかんでしまって、逃げられなかったのだろうか。

 振り解けばよかったのに。

 なんか申し訳ないな……。