その恋、記憶にございませんっ!

「お前はフライドチキンのおじさんの手をつかんだつもりで、俺の手をつかみ、振り返りもせず、歩き出したので、俺は自力で歩いてついて来たんだ。

 おかしいと思えよ」
と言われてしまう。

 ……ですよねー……。

 結局、全部自分のせいだったか、と反省したとき、誰かが、何故か開いたままだったドアをノックした。

 振り向くと、あの麗しい執事が立っていた。

「蘇芳様。
 お時間です。

 仕事に遅れます。

 唯様も、職場までお送りしますよ」
と笑いもせず、言ってくる。

「えっ、結構ですっ」

 なんかすごい車に乗ってきてそうだ、と思ったからだ。

 そんな車で会社の玄関に横付けとかされたくない。

 しかし、宮本は、
「唯様がお勤めの会社とはうちも付き合いがございます。

 蘇芳様のせいで社員が遅れたとなっては、面目が立ちません」
と言ってくる。