その恋、記憶にございませんっ!

 実際に唯に訊いていたら、唯はもう爆睡しているところだったので、
『どっちもこっちもないですっ。
 眠いんですっ!』
と叱られていたことだろうが。

 だが、ずっと運転してきて疲れているはずなのに、ひとり眠れない蘇芳は頭を抱え、苦悩する。

 教えてくれ、唯。

 どっちが正解だ?

 いつかの宮本と本田の顔が頭に浮かんだ。

『何故帰ってきたんですか。
 不正解です』

 唯。
 あのときの宮本たちのように、手を出さないのは、不正解ですと。

 不正解ですと言ってくれっ、と思い、のたうっていると、唯が寝返りをうち、こちらを向いた。

 唯の白い小さな顔は、実に気持ちよさそうに微笑んでいる。

 ああ、可愛い。

 一緒に此処まで来たんだし。

 ……いや、騙し打ちで、引きずってきたんだが。

 途中で飛び降りたりしなかったし、いいよな? 唯、とそうっと近づく。

 ベッドに入ろうかなーとシーツの上に手を置いた瞬間、その手をいきなり誰かがつかんできた。

 ひっ、と固まる。