その恋、記憶にございませんっ!

 本格的にキャンプをしようとか言われると、ちょっとめんどくさいと思ってしまう人間だからだ。
 
 此処は豪華な部屋の前に、ハンモックやバーベキューの出来る設備があり、湖があった。

 のんびり釣りをして、釣った魚を焼いたりしつつも、メインの食事は、ホテルの人が運んできてくれるようだった。

 ダッチオーブンを使った料理で、アウトドアっぽいが、ほとんどのものは、宿のキッチンで作って運ばれてくるだけだった。

 だが、このゆるさがなんとも快適だ。

 唯は夕陽をさえぎるパラソルの下、白いリクライニングチェアに座り、ワインを呑んでいた。

 湖と目の前のプールが夕陽でオレンジ色に染まっている。

「美味しいです。
 この骨つき鶏もも肉が丸ごとドカン、と入ってるご飯」
とダッチオーブンから皿にとってもらったそれを食べなから、あー、くつろげる、と思っていた。

 蘇芳も釣りをしたあとはあまりしゃべらず、テーブル近くの黒いアイアンの椅子に座り、ただ、ぼんやりしていたが。

 人と二人きりで居るのに、その沈黙がなんだか苦痛でなかった。