その恋、記憶にございませんっ!

 この縁談、あの奥様のお友だちが持って来られた、ということだけだ――。

 ……すごい大問題な気がしないでもないな。

「ねー、やっぱり見張りに行きませんかー?」
と本田が後ろでまだ言っている。

「お前、蘇芳様に便乗して、遊びに行きたいだけだろう」
と睨んでやったが、本田は否定もせず、笑っていた。