その恋、記憶にございませんっ!

 いや……。

 その理由は恥ずかしいし、勝手なので、言いたくないです、と思いながら、窓の外、いつの間にか現れた海を見る。

「唯、時間がないから、朝ご飯はコンビニでいいか?」
とふいに言われ、ええっ? と声を上げる。

「コンビニじゃなくて、どっか食べに行こうって言いませんでしたっけ!?」

「いや、ちょっと我慢しろ」

 美味しいもの食べさせてやるから、と言って、蘇芳の車はそのまま湾岸沿いを走っていった。

 ど……

 何処に連れ去られてるんですか、私っ。

 普段着、ほぼノーメイクのままなんですけどーっ!?