その恋、記憶にございませんっ!






「何故帰ってきたんですか。
 不正解です」

 家に帰るなり、玄関で待ち構えていた宮本に、蘇芳はいきなり罵られた。

 此処までの経緯(いきさつ)を話すと、
「ますます、不正解です」
と言われる。

「なんでだ。
 俺は唯のために、涙を飲んで、帰ってきたのに」

「僕も不正解だと思いますねー」
とまだ居た本田まで、口を挟んできた。

「蘇芳様は、一見、ガンガン押してってるように見えますが、所詮はお坊ちゃん育ち。

 今まで女性も苦労しなくても手に入ってきたでしょうから、詰めが甘いんですよねー」
と罵られる。

 なんか無茶苦茶言われている気もするが……と思いながらも、蘇芳は二人からの指南を黙って聞いていた。

「蘇芳様」
と宮本が呼びかけてくる。

「唯様、可愛いですし。

 いまいち人が良くて断りきれないところがあるから、あの慎吾課長とかいう輩(やから)には、要注意ですよ」

「わかった。ありがとう」