そう思って蘇芳を見つめると、蘇芳は、
「どうした、唯。
 めちゃくちゃ可愛い顔をして」
と言いながら、そっと唯の顔を大きなその手で包んできた。

 いや……貴方への不満を目で訴えていたつもりだったんですが、と思っていたが、蘇芳は、
「いいよな、唯。
 キスしても」
と訊いてくる。

「うん、いいようだな」

 すぐに自分でそう言う蘇芳に、いや、勝手に結論づけないでください、と思っていた。

 貴方は、私のなにを見て、いいと思ってるんですか。

 ……まあ、自分の今の顔は見られないのでわからないですけど、と思っている間に、蘇芳が口づけてきた。

 軽く触れるだけとか……

 全然嘘じゃないですか。

 そう思いながらも、唯は目を閉じた。