その恋、記憶にございませんっ!

 



 爽やかな朝だ。

 コンビニで買ってきた玉子たっぷりサンドも美味しい。
 薄めの甘いパンがほわほわで。

 唯は甘めの缶コーヒーを飲んで、ふーっと息をついた。

 疲れてるのか、最近、甘いものがやたらと美味しい。

 いかん。
 太るな。

 ドレスが入らなくなってしまうではないか、と思いながら、唯はカレンダーを見る。

 結婚式の衣装の打ち合わせがある日に丸がつけてあった。

 まあ、もうほとんど決まっているので最終確認だ。

 ちなみに、新郎は桝谷(ますや)の一族だが、近年、一度しか会ったことはない。

 家の都合で決まった結婚だ。

 式の前日には、ボストンから帰ってくるらしいが。

 しかし、こうしていると、やはり、昨日のことは夢だった気もしてくるな、と思ったとき、誰かが廊下を歩く音が聞こえてきた。

 テレビがないので、静かな部屋には外の音が丸聞こえだった。

「蘇芳だ。
 おはよう」

 口調は丁寧だが、警察だっ! くらいの勢いでドアが開いた。