じゃあ、格好良く助けるのは次回にして欲しかったです~……と蘇芳のせいではないが、思っていると、蘇芳が、
「たくさん人が通ったのなら、そいつらに助けてもらえばよかったじゃないか」
ともっともなことを言ってきた。

 そ、そういえば、そうだな……と思ったあとで、

「でも、本田さんが貴方のために、せっかく見せ場を作ろうとしてくれたのに悪いかと思って」
と言うと、蘇芳は笑いながら、

「いや。
 単にお前が、俺に助けて欲しかっただけじゃないのか?」
と言って、唯の頭を撫でてきた。

「いやっ、違いますよーっ。

 違いますってばっ。
 やめてください~っ」
と空いている方の手でその手を払ったが、蘇芳はやはり笑っていた。

「あー、疲れた。
 腹減った」
といや、お前のせいだろ、と思うのに、翔太は膝を抱え、また文句を言い始めた。

 蘇芳が溜息をつき、
「しょうがないな、二人とも。
 奢ってやるから来い。

 っていうか、外れんぞ、これ」
と蘇芳はガムテープを外そうとして苦戦する。