その恋、記憶にございませんっ!

 いや、昨日、なにか恐ろしいことがあって、翔太さんが本田さんに怯えてるとか? と思っていると、本田は、よしっ、とガムテープを切りながら、
「現場保存で。
 蘇芳様を呼んでくるまで」
と言う。

 そして、こちらを見、
「逃げないで待っててくださいよ、唯様。
 今から、蘇芳様、呼びますから。
 格好良く助けてもらってください」
と言う。

 呑気にスマホで蘇芳を呼び出し始める本田に、唯は、

 いや……お願い。
 今、助けて、と思っていた。

 翔太の手はこれを離したら最後と思っているかのように、がっちりと唯の手を握っている。