その恋、記憶にございませんっ!

「あの者、無礼にも唯様に懸想してございますから、下郎で充分だと思われます」
と宮本は言ってくる。

「いや、そんなこともないと思いますけど……」
と苦笑いする唯の前で、蘇芳は渋い顔をしていた。

「宮本」
と執事の名を呼ぶ。

「お前、もしや、俺のことも、唯に言い寄る無礼な下郎だとか思ってたか?」

 宮本は答えない。

「……見境いないな」
と蘇芳は呟いていた。