舞さんはそんなあたしたちのやり取りを、笑いながら見ていた。

戸崎のファンだったと言うのに、こうやってあたしたちの交際を受け入れてくれて。

本当に舞さんはいい人だ。





「すみません、いつもご迷惑をおかけして」




謝る戸崎に、いえいえと舞さんは言っていた。




「本当にみどりちゃんが好きなんですね」



「はい……すげぇ好きです。

自分でもびっくりです。

こんなペチャパイのオトコオンナに惚れているなんて」




イラっとすると同時に、きゅんとした。

戸崎が堂々とあたしを好きと言ってくれるから。

舞さんみたいな美人を前に、はっきりと言ってくれたから。

戸崎はやっぱり変わったんだ。

それなのにあたしは、嫉妬して戸崎を苦しめてばかりいる。





「行くぞ、ペチャパイ」




いつものように少し頰を染めてあたしに差し出されたその手を、ぎゅっと握った。

大きくて優しいこの手を、絶対に離したくない。