オフィスを出ると、珍しく柊が迎えに来ていた。

Tシャツにハーフパンツ姿の柊は、ポケットに手を突っ込んで、ビルにもたれかかっている。

いつも通りの柊に



「どうしたの?」



聞くと、



「結婚指輪探しに行かねぇとな」



突然のその言葉に驚いた。




「けっ……結婚指輪!?」




大声を出すあたしに、



「嫌なのかよ」



柊は言う。



嫌じゃないことくらい分かっているくせに。

頰を染めたあたしの手を握る柊に、案の定痺れた。