「あ、柚ちゃん」




不意に思い出したように、柊のお父さんが柚ちゃんに聞く。




「新しいエフェクター、壊れたみたいだけど治せない?」



「うーん……

あたしも機械関係苦手だからなぁ……」




難しい顔の二人に、



「そんなの蹴っ飛ばせば直るだろ。

親父のアタマも一回蹴っ飛ばす必要があるな」



柊は相変わらず毒を吐く。

そして、



「パパはいまだに不思議だよぉ。

なんでパパとママから、柊君みたいな乱暴な子が生まれたのか……」



「うるせぇな!

親父がロックバンドなんて組んでるからだろ!!」



やっぱり言い合いを始めてしまう。

その言い合いすら所々に愛を感じて、一人でにやけていたんだ。





柊のお父さんお母さん、こんなに素敵な柊に会わせてくれて、ありがとうございます。

かっこよくて、まっすぐで、優しくて、時々甘くって。

大好きな柊と一緒にいられると思うと、すごくすごく嬉しい。

柊と結婚できるあたしは幸せ者だ。