「愛してる」 吐息交じりに吐き出された、消えてしまいそうな声が胸に沁みる。 「みどりがいるから、俺はすげぇ幸せだ」 あたしだってすごく幸せ。 この幸せが怖いくらいに。 左手に輝く指輪にそっと触れる。 まるで戸崎の笑顔みたいに優しくて、温かい光で輝くダイヤモンド。 あまりにも綺麗で、再び涙が頰を伝った。 あたしには、帰る場所がある。 これからもずっと、この大きくて頑強で優しくて甘い腕の中に飛び込むんだ。 ー完ー