「ごっ……ごめん! あたし、急いでて」 慌てて剛君から離れようとするが、腕をぎゅっと掴まれる。 もちろんドキドキなんてしなかった。 ただ、ひたすら焦っていた。 戸崎が知ったらどう思うかなんて考えて。 剛君に手を掴まれるあたしを見て、 「黒木さん!彼女ですか?」 女子たちが聞く。 すると剛君はううんと首を振る。 ほっとするのも束の間、 「今は彼女じゃねぇけど、こいつは俺の女になる予定だ」 訳のわからない言葉を吐いた。