リビングに戻って璻が私の隣に座る。


璻は何も言わず私の手を握ってくれた。


「・・・・・・怜香がいい時に話して。」


そう言われて、私は深呼吸した。


「・・・・・・・お母さんの、操り人形だったんだ。私。・・・・・・お母さんの言う通り、いい成績を取って、大学に行くのがいいんだと思っていた。当たり前だと思っていた。・・・・・・・でも最近、私はこのまま大学に行って何をするんだって思ったの。目的無しで行くのはちょっと違うんじゃないかなって。そう思えたのは・・・・・多分、璻がきっかけ。」


「・・・・・・俺?」


璻が驚いたように私を見る。


「うん。・・・・・・・友達といるのが楽しいって言ったでしょ?・・・・・・それが羨ましかった。私は学校でも家でも、作った笑顔でいなきゃいけない。常に周りの目ばかり気にして。完璧な私じゃないといけないって。みんなが求めているのは完璧な私。だから、本当の笑顔で笑っている璻が羨ましかった。」