どうして君を好きになったんだろう

空はもう段々暗くなってきていて、夏だから蒸し暑い。


どうしよう。


瑚春は家族旅行中だし。


行くところなんて私には無かった。


「あーあ、本当の私を見てくれる人なんていなかったからなー。」


私は歩きながら呟く。


「ピピーーッ!前の女の子止まりなさーい。」


突然後ろから声がした。


え?私?


私は後ろを振り返る。


「やっぱり怜香か。何してんの?こんなところで。」


そこにはコンビニの袋を持った璻の姿。


ニコッと笑って聞く璻に私は何故か安心して涙が零れた。


怒られた時も家を飛び出した時も涙なんて出なかったのに。


「え!?怜香!?お前どうしたんっ」


私は璻が言い終わる前に走って抱きついた。


「うぅーーーーーっ。璻っ。璻っ。」


私は泣きながら璻の名前を呼んでいた。


璻は何も言わず頭をぽんぽんと撫でて、私のことをギュッと抱きしめてくれた。