「あっ、そうだ。本当は駅で送ろうと思ってたんだけど、行けないからここで渡すわね。」


そう言ってリビングの棚から小さな箱をお母さんが持ってきた。


「これ、何?」


「これはね、お母さんがお父さんから貰ったブレスレットよ。」


ブレスレットには花柄のチャームが付いている。


ピンクと白の花。


「これ、・・・・・・貰っていいの?大切なものじゃないの?」


するとお母さんがブレスレットを見ながら嬉しそうに話した。

「お父さんからもらった時にね、もし女の子が産まれたらこのブレスレットあげようって話してたの。・・・・・・怜香に好きな人ができた時に。・・・・・・お母さんがお父さんに恋したみたいに怜香にも素敵な恋して欲しいなって思ったの。だから、今日、怜香にあげる。」


「・・・・・・ありがとう。大事にするね。お母さん、お父さん。」


「うん。・・・・お母さんにも似合ったんだから怜香にもきっと似合うはずだよ。」


ちょっとドヤ顔で私の手にブレスレットを付けるお父さん。


「ふふっ、可愛い。ありがとう。私も、素敵な恋が・・・・・・・出来るといいな。」