あのね、三上くん。



腕で顔を隠してるつもりなんだろうけど、丸見えだよ?



赤い顔、見えちゃってるよ?



でも、そんなこと言えない。



珍しい状況に、少しイタズラ心が芽生えた。




「ねえ、呼んでくれないの? 楓南って」


「え、う、うーん……」


「残念だなー。さっき、嬉しかったのに」


「えぇ~……うううーん」




あはは、三上くん面白い。



こういうとこ見ると、可愛いなって思う。



前から薄々思ってたけど、かなりウブだよね。




「わ、わかった! 呼ぶよ、呼びます」




お、覚悟決めたか。



小さく深呼吸した三上くんは、彼にしては小さい声であたしの名前を呼んだ。




「か、楓南……」


「っ……」



ちょっ……これ、恥ずかしい。



顔を赤くさせてる三上くんを見たら、つられちゃうよ。



すると三上くんは。




「言っとくけどな! か、楓南だって俺のこと”陽希”って呼ぶんだからなっ!」


「え、」




開き直ったように言われても。


そんな、聞いてないって。