■相馬side□



「パーティー?」


午後、一時半ごろ。


一通の電話が、かかってきた。


相手は、どうやら弟の水樹で。


今度あるパーティーに出席するようにという、年押しの電話であった。


正直、面倒なので、サボろうと思っていたが今日、弟にも姉にも釘を刺された辺り、どうやら、参加しなければならないらしい。


「…ああ。分かってる。参加な。はいはい」


超不本意だが、とりあえず、了承。


「甲斐、来週の4月30日の仕事、全部、前倒しにしろ。予定が入った」


「分かりました。…俺もいく?」


臣下として返事した甲斐は、間をおいて幼馴染みとして聞いてきた。


「ああ。幼馴染み、大集合だってさ」


それに頷けば、


「チッ、めんどくさ」


舌打ちと一緒に笑顔で言った甲斐。


「それを言うな。思っていても…夏翠には、逆らわない方がいいだろ?薫にもだけど」


十何人と、年の差はあれど、幼い頃から一緒にいる俺らは、絶対的に夏翠には逆らえない。


薫の場合は、薫として生まれ変わったあとの職業などの問題だが、どうしても、夏翠においては彼女を前世で見てしまい、逆らえなくなるのだ。


夏翠の前世は、紅鈴といった。


今の夏翠のように柔らかく、元気に笑う女で、沢山の人間に慕われた相馬の前世―…草志たちの最後の主。


「…夏翠が言い出したの?」



「いや、正確には、薫…蒼生辺りらしいが」


それになんとも言えない表情をした甲斐は、ぶつぶつ何かを言いながら、社長室を出ていく。