「話からわかると思うが……“姫”を守護する役目に担っていた13人は、守護聖と呼ばれた。炎、風、地、空、水、氷、時、歌、声、夢、光、闇、生命。そんな者たちに護られながらも、“姫”自身は、自然すべての力を持っていた。だからこそ、“姫”は最強と呼ばれていたんだ」


自然をすべて、操る力……


確かに、最強だ。


誰もが、勝てないくらいに。


それがどれだけ大きいことなのか、私でもわかった。


「“姫”が罪を犯し、幾度なく、生まれ変わるなか、守護聖は生き続けたよ。“姫”の願った、国を守るためだけに」


何千年……その時を、生き続ける人ではないもの。


「苦痛だった。そりゃ、孤独だから。でも、そんな中で最も、禁忌とされることを俺らはした」




それが……



「恋、ってこと?」


「……ああ。人を愛した。どうしようもないくらいに」


彼は、苦しむ。


かつてのことを思い出すように。


「あの時、どうして良いのかわからなかった。ただ、ひたすらに同じ時を生きられないのが苦しかった。“姫”に身も心も捧げたはずの俺らは、後悔したんだ。そんな選択をしたことを」


愛していても、伝えられない。


何をしても、行き着く場所は同じ。


……別れ。


「大抵が、死別だ。それも、最悪の」


目の前で愛する人間が死んでいくのを見ながら、何も出来ない、共に逝くことも出来ないのはどれ程の苦痛か。


人を愛したことがない私でも、異常な愛に囲まれているから分かる。


息苦しいはずだ。


どうしようもなく。


父さんに同じことが起こったら、恐らく、父さんは壊れる。