シャツのボタンを上から3つ開けて
眼鏡を外し
髪をかきあげた先生は
「空気わりーな。もうちょい窓あけるか」
目を疑うくらいの色男で
わたしを見下ろすその眼は
忘れもしない……
「……暴走族さん……?」
「ああ、これな」デスクのマットに挟んだ写真を取り出す。
「真ん中の人……」
「この頃は、若かったなぁ」
――!?
写真を懐かしむように眺める先生。
「この写真見てると、元気でるんだ」
「先生なの?」
「あ?」
「その写真の人」
「お前……もしかして、今気づいたのか?」
「…………」
「マジか。てっきりバレてると思ってた」
口をパクパクさせることしかできないわたし。
「まあ、いい。黙ってろよ?」
言えるわけない。
あの、狼谷先生が。
ダサくてみんなから舐められている
狼谷先生がっ……
――元暴走族だなんて。


