「ないじゃん」
山根のロッカーには、置き勉(教科書やノート)しかなかった。
衣装……どこ?
「こうなったら制服で魔女をやり通すか……」
「それはいくらなんでも無茶じゃないか?」
――え?
「……せ、先生?」
誰もいない教室に現れたのは
「よぉ」
ブラックな方の、狼谷先生だった。
黒スーツを着てサングラスをかけている。
「なんで?」
「なんでって。俺が来ちゃ不都合か?」
「……日時まで教えてなかったのに」
「いつになったら教えてくれるのか、待ってたんだけどな」
だって……。
先生、仕事とか忙しいかなって思ったし。
ここから去った人を呼び戻していいかの判断がつかなかったから、呼ばなかった。
呼べなかった。
「向かわなくていいのか。体育館」
「それが。山根いなくて」
「ああ。山根か。いつも寝てた」
「そうです、山根です。うるさいから叩き起こしてほしかったのに先生がガン無視してた山根です」
「実は前々からオファー受けててな」
「は?」
「銀髪から、俺も出ろって言われてる」
「……はぁ!?」


