『誰にも言うなよ?』



まったく。


なにが嬉しくて山根のロッカーなんて確認しに行かなきゃならないの。


本番前にキャストがいないとか。

衣装探してるとか。

最後の最後までグダグダすぎるでしょ……。


ほんとはわかってる。

自分が委員長とか実行委員とか向いてないって。


それでもみんなのおかげで、なんとか形になった。


成功させなきゃ。


「うわぁ……」


人、多すぎ。

廊下を歩くのも一苦労。


それでもまぁ。


今日という日を


こんな形で迎えられてよかった。


「素子ちゃん」


呼ばれて振り返ると――。


「おばあちゃん!!」

「間に合ったかな?」

「来てくれたんだ……!」

「約束したからねぇ」


来れたら来てね、と声はかけていたが。


「ありがとう! しんどくなったら言ってね?」

「演劇は……」

「体育館! ここ、まっすぐ進んだ先だよ。わたし用事あるからまたあとでね」

「頑張ってね」