「小さい頃から優等生の肩書きで生きてきた。いいや、生かされてきた」

「……?」

「父からは優秀であることに意味があると教え込まれてきた」


お父さんって、ここの理事長の……。


「その言葉を信じて疑わなかった。自分なりに正しいと思ったことを貫いてきた」


そんな会長だから副会長はついてきたんだよね。


「だったらなんで……」

「ただ優秀であることなんて無意味だったんだ」

「え……」

「既に君も知っているかもしれないけど、この学校は、教師の不祥事を簡単にもみ消すようなヤツが仕切ってるろくでもない場所だ」


――!


「金を積まれれば試験を受けさせずとも入学させているし。ろくに学校に通わない生徒が卒業できる。どれもこれも、大人の都合さ」

「だから……手放すの?」

「ああ。こんな場所。もう要らないよ」