――見損なった。
エリカは、どこかこの2人とは違うと思っていた。
でも、こんな陰湿なことする人間と同類だったんだね、あんた。
転んだわたしにクラスメイトからの視線が集中する。
誰も助けようなんてしない。
だって、そんなことしたら
……同じようにいじめられるから。
3人を無視して立ち上がると、教室を出た。
「女って、面倒くさっ……」
最悪の気分だ。
「モト公」
……ほんと、最悪。
「誰がモト公だ、誰が」
「ご機嫌斜めか?」
「これが機嫌いいように見える?」
「なにイライラしてんの。生理?」
「あのねぇ」
そういうデリカシーのないこと言うな。
「ほら」
手渡されたのは生徒手帳だった。
「これ……どこに……」
「あっちの校舎。準備室に向かう途中で拾ったんだ」
準備室に行く途中で……?
「あ、ありがとう」
先生から生徒手帳を受け取る。
「お前、しっかり者に見えて抜けてるんだな」
違うし。
落としたわけじゃない。
これは、捨てられたんだ。
あいつらに。
「……先生」
「ん?」
「ついでに教科書やノートや筆箱も落ちてませんでした?……バラ巻かれた感じで。それとも破れてるかもしれないなぁ」
やば。
なんか、泣きそう。
自分が惨めで。
「…………」
「やっぱり、なんでもないです。失礼します」