エリカの席まで歩いていく。

不思議と怒りも呆れもない。


ただ、わたしは

はやく平穏な生活が送りたいだけ。


すっと息を吸い込んで言葉を発した。


「……ねぇ」

「なぁに? 委員長」

「わたしの教科書とか知らない?」


クスリと笑うと


「さぁ。菜々、知ってる?」


隣にいる菜々バトンタッチした愛美。


「知らなーい」


あっそ。

シラをきるなら、それでいい。


態度でわかったから。

犯人があんたらだって。


ヒントなしで見つけてやろうじゃない。

なくされたもの、全部。


「……そっか」


席へ戻ろうとした、そのとき


「っ、」


転んで足を強くうった。


「どんくさーい」

「ちょっとぉ。気をつけなよ?」


ケラケラ笑う、愛美と菜々。


躓いたわけじゃない。

今、足を、引っかけられたんだ。


「エリカに恥をかかせた罰があたったんじゃない? ね、エリカ」


愛美がエリカに話をふる。


「……そうかもね」


エリカはポツリとそう答えた。