『誰にも言うなよ?』



「どっちと……ってのは、」

「そんなの青山くんとレオくん、どっちが本命なのかってハナシだよ」


そんな予感はしていたがやっぱりその話か。


「どっちも本命じゃないよ」

「2人とも遊びなの!?」


なんでそうなるの。


「友達だよ。雅人もレオも」

「え?」

「少なくとも、わたしはそう思ってるよ」

「それじゃあ……青山くんと別れたの?」


――しまった。


恋人設定がスッカリ頭から抜けていた。


「レオくんは明らかに木乃さんのこと好きだよね」


真っ黒にメイクで縁取られた大きな目で、じっと見つめられる。


「ここだけの話にして欲しいんだけど。事情があって雅人と付き合ってるフリしてるの」

「フリ……?」

「エリカがいた頃、ひと悶着あって。雅人はわたしを仮の彼氏として守ってくれてたのがきっかけで」

「……そっかぁ」

「レオの気持ちにも、気づいてる。それで本人には応えられないって伝えてある」

「え……」