「な……」
「そうしてろよ。普段から」
「なんでそんなこと、先生に言われなきゃ……ならないの……」
か、
可愛い……だと?
わたしが?
「別に。単に俺の好みを押し付けてみてるだけ」
最低か。
「いいね、その目」
「はぁ?……なに!?」
「今俺のこと睨んだろ」
ダメだっ……。調子狂う。
この男の前で、わたし
“優等生”を、演じきれない――。
「仔犬っていうより〝狂犬〟って感じだな」
「うるさいっ」
「ほら、噛み付いてこいよ」
「あのねぇ、」
「ただし……噛み付けるものならな?」
わたしを煽る先生に苛立ちを覚えるのに
そんな姿でさえ、美しい……。
(……美しい……?)
なに、好きとか言っちゃってるんですか。
可愛いって、なんですか。
バカなんですか。
セクハラですか。
「そうだ」
「……?」
「お前さぁ。あいつらの犬になるくらいなら、俺の犬になれよ」
——はい?
「どうだ。忠犬、モト公」


