会長は口調こそ優しいが、言っていることは厳しかった。

いや、当たり前のことを言われただけだ。


悪いのは、わたし。

それでも腑に落ちないのは……。


「レオは、わたしを裏切りません」

「!」


気のせいだろうか。

ほんの一瞬、会長の笑顔が崩れたように見えたのは……。


「いくらわたしがあの場所で働くことをいいように思っていなかったとしても。告げ口なんて姑息なことはしません」


狼谷先生にわたしを近づけたくないなら、とっくにわたしを裏切ってるよね。


出逢いこそ最悪で。


言動からいかにも危ないやつだけどさ。


わたしは、何度も救われてきた。


レオの笑顔に。


レオの優しさに。


「でもね、木乃さん……」

「LHRで話し合いの進行をサポートしてくれたのはレオです。わたしは彼が他人の足を引っ張るようなことするとは思えません」

「……それじゃあ、僕が嘘をついていると言いたいのかい?」

「はい。そう思っています」