「……君みたいな子がどうして」


ぽつりと会長がなにか言った。


(……?)


「木乃さん」

「はい」

「君はこの学校の生徒手帳を見たことがあるかな」

「……もちろんです」


いきなりどうしてそんな話になるのだろう。


どこにも違反していないはず。

むしろわたしほど守っている子はいないと自負しているが……。


「“第22項。アルバイトは原則として禁止する”」


――あ。


「家庭の事情などなんらかの理由でやむを得ず働く場合は学校長の許可が必要になることを知っていますか?」

「……はい」


やっ、ヤバイ。

バレてる。


昨日ことが、もう会長の耳に……!?


いや、そんなはずは……。


だって、わたしがバイトを始めたことを知ってるのは雅人とレオと、おばあちゃんだけ。


おばあちゃんにはサイン(契約書に保護者の印鑑が必要だった)をもらうときに話した。


反対されるかと思ったら、わたしがやりたいことならと認めてくれたのは意外だった。