納得したようにつぶやいた狼谷先生が手に持っていたのは、わたしのノートの断片だった。
(なにか気づかれた……?)
「これが、お前がここを掃除してた理由ってわけか」
名推理ですね狼谷探偵。
……だけど、気づかないで欲しかった。
なにが嬉しくてイジメられた証拠を見つけられなきゃならないの?
はやく、出てってよ。
「なにがあった?」
「…………」
話すわけないでしょ。先生に。
「小っ恥ずかしい愛のポエムでも書いてたか?」
——は?
「黒歴史になるんだろうなぁ。そのうち」
なにいってんの。
「なあ、俺によんで聞かせてくれよ」
「…………」
「照れんなって。さぁ、披露したまえ」
「んなわけないじゃないですか。そんなもの血迷って書いたとして、なにゆえわたしは授業中にコッソリ処分してるんですか」


