「えーと、倉田だっけ」

「はいっ、」

「あんたが気負うことない」


スパッと言い切る雅人に、「イケメンだねぇ青山くん」とツッコむレオ。


「でも……。困ってることあったら言ってね?」

「オッケー。そんときはよろしく」

「……!」


不意に柔らかく笑う雅人をみて顔を赤くする千夏。


ああ、雅人のこのスマイル

ヤラれない女の子なんていないやつだ。


わたしも最初みたときドキッとしたし今でもやっぱりする。


ましてや千夏、ピンチを救われたんだから余計に雅人のこと王子様みたいにみえてそうだなぁ。なんて。


「じゃあね、」


去っていく千夏を見て「かわいい子じゃん。青山くん、あの子にしたら?」なんていうレオ。


「はぁ?」

「モトコはこの通り。どこかのオッサンのことしか考えてないからねぇ。はやくカノジョ作った方がハッピーになれるんじゃない?」

「そういうお前はどうなんだよ」

「ボクはモトコ一筋だよ?」

「俺だって……」


雅人が途中で口を閉ざした。


「どうしたの、青山くん」

「いや……あんまり本人の前でそういうこと言うと気を使わせるだろ」

「なんだぁ。ってことは、まだ青山くんもモトコが大好きなんだね。ちぇ。ライバル一人減ったかと思ったのに」

「そのために俺に他の女をすすめるのはやめろ」