「なんだよ。じっと見て」

「……別に」

「キスして欲しいのか?」

「はぁ!?」


なにを言い出すんだこのひと。

そんな空気ぜんっぜん流れてなかったよ!?


「いいよ。でも、そういうのは大人になってからな」


ニヤッと笑う、狼谷。


「そ、そういう問題じゃないでしょ」

「そういう問題だろ。今したら捕まる」


……ん?


「大人って、いくつ?」

「少なくとも18まではマズイなぁ」

「大人相手なら誰とでもできるの?」

「いいや?」

「わたしが大人になったら……わたしと、できるの?」

「そうだな」

「キスだよ? え、キスってなに?」


どのキスの話!?


「そうか。お前キスしたことないのか」

「残念そうな目で見るな……!!」

「この間まで中学生だったんだもんな。ちょっと前までオムツ履いてたんだもんな。そりゃあ経験なくてもしかたねぇわ」

「さかのぼりすぎだろう。仮にちょっと前まで履いてたならわたし相当だならな!?」

「ははっ。今日もツッコミがキレッキレ」