「いくらうちの高校がガラ悪いからって……あんなの乗り込んでくるか?」


たしかに雅人の言うとおりだ。


暴走族がやって来たなんて話は、さすがに聞いたことがない。


「ねえ待って……授業どうなるんだろ?」

「こんな状況じゃ授業どころじゃないな」

「そんなの困る。こっちは授業料払ってんのに」

「でたー。モトコのドケチ」

「ケチじゃないから。本来受けられる授業が潰れちゃ迷惑」


(……あれ?)


体育担当のガタイのいい男教師が暴走族に近づいていくのが見えた。勇ましい。


だけど――。