「どうして殴るの」

「……ムカついたから」


人に、犬って言ったクセに。

自分だって犬みたいなことしてたから。


「モトコのパンチなんてカミヤには効かないよ。っていうか、当たらないと思うなー」


にんまりバカにしたように笑うレオ。


「……うるさい」

「会いに行ったら、喜ばせちゃうね?」


アイツがわたしに会えて喜ぶ?

まさか。


もう関わる気ないから黙って行ったんでしょ。

そんなわたしが行ったら迷惑にきまってる。


いいさ。

困らせてやろうじゃないか。


この行き場のないムカムカの原因はアイツなんだから。


「ねぇ。今カミヤの顔なんて見たら余計に好きになっちゃうんじゃない?」

「……は?」

「それでも会いたいの?」