「なんで……」


もう、エリカはわたしの前から姿を消した。

わたしが嫌がらせを受けていたのは過去の話。


なのに、どうしてこんなもの与えてるの。


狼谷は、支払いを続けているの？


「もしかして待ってるのかなぁ？　モトコからの連絡」

「まさか」

「しないの？　そのスマホからできるんじゃないの？」

「……するわけないし」

「意地はらなくていいのに」

「うるさい」


意地を張ってるわけじゃない。


アイツは突然いなくなった。

サヨナラの挨拶もなんにもなかった。


その程度の薄っぺらい関係だったということだ、わたしとあの男は。


なのに追いかけるようなことできるわけがない。


このスマホは解約し忘れて自動引き落としに気づいてないとかそんなオチだったりして。


だとしたら……バカだ。

はやく使えないようにしろ。


「カミヤのこと諦めたならボクにも青山くんにも可能性あるってことだよねぇ」