「そんなセコいことしなくてもさぁ。油なんて、ボクが一斗缶でいくらでも家に送ってあげるよ?」

「げ」


こんな庶民派のスーパーを訪れるには異色のオーラを放ちすぎている美少年、レオの登場だ。

……芸能人ばりに目立っている。


「セコいとは、なによ。同じものを一円でも安く買うために行動してるだけ」


これは一分一秒を争う戦いである。

けっして油断はできない。


「モトコ、酷い」

「なにが」

「夏休みに入ってから一度も連絡くれないんだもん」

「それまではしてたみたいな口ぶりだけど、そもそもわたしから連絡したことないよね。連絡先知らないし」

「登録しておいたよ? モトコのスマホに」


そういえば、いつか勝手に入れられたっけ。


「ボクと暮らそうよ。そしたら買い出しなんてお手伝いさんにさせて、ボクと楽しいことだけしていられるよ」

「……嫌」


それ絶対楽しいことじゃないし。


「つれないなぁ。寂しくて泣いてるんじゃないかと思って会いに来てあげたのにさ」

「寂しくもないし、泣く暇だってないくらいやらなきゃならないこと沢山あるし」