『誰にも言うなよ?』



「エリカ――」

「呼ばないでよ裏切り者」


――!?


エリカが、菜々を、突き飛ばした。


「ごめん……」

「ほんとに悪いと思ってるの?」


倒れ込んだ菜々の脇腹に蹴りを入れた。


一度、そしてもう一度。


ゴホッと咳き込む菜々。


「ちょっとエリカ……」

「委員長も蹴ったら? コイツにはムカついてるでしょ」

「誰がアンタと同じレベルに落ちるものか」

「まぁいいや。顔貸してよ」

「嫌に決まってるでしょ」

「そんなこと言わずにさ」

「授業に遅れるの嫌だからもう行く」

「……せっかく別れの挨拶にきたのになぁ」


――え……?