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昼休み。
約束通り、クラスメイトのノートを準備室まで運ぶ。
全員分集めるようにいわれたが半数しか集まらなかった。うん、想定内。
このうち何人の生徒がきちんと課題を仕上げているのか甚だ疑問だ。きっと10人もいないだろう。
問題を解かずにラクガキされていたり
白紙のまま渡してきた人もいそうだなぁ……。
と、そんなことを考えているうちに
国語準備室の前にたどり着いた。
準備室は、1年の教室から遠い
ひとけのない棟のすみっこにある。
――コンコンッ
扉をノックするも……反応がない。
「狼谷先生?」
返事がない。
自分から呼んでおいていないってどういうことですか。
(いや、待てよ……小声すぎて聞こえないのか?)
そっと、ドアノブに手を掛ける。
――ガチャッ
「……あいた」
なんだ、いるんじゃん。
準備室は、中に誰もいないときは必ず鍵がかかっているよね。
「失礼します」
一歩、準備室に足を踏み入れた。


