「そんじゃ、また明日」

「送っていただき、ありがとうございました」

「なんのこれしき」

「あと、」

「ん?」

「……助けに来てくれて、本当に、ありがとう」


すごく

すごく

嬉しかった


「どういたしまして」


去りゆく先生の姿が見えなくなるまで見送るとおばあちゃんに挨拶して自室に駆け込んだ。


ベッドに横たわり、ため息をつく。


あんなことが、あったのに。


制服破られて。


酷い目に合いそうになったのに。


「……普通にいそうだな。恋人」


考えるのは、先生のこと。


また、ピンチにかけつけてくれて。

 
カッコよくナイフ蹴飛ばして。


わたしのこと、抱きかかえて。


バイクのうしろに乗せてくれて。


「なんなの……ほんと……」


わたしの中を、これ以上いっぱいにしないで。