人にモノを借りておいてそれ?


別にわたし、

あなたたちの為にガリ勉やってるんじゃないですが。

……なぁんて

いちいち腹を立てるだけ無駄なんだ。


彼女らの横柄な態度には慣れてきた。

慣れてきたからといって、やっぱりムカつくので心の中ではこうして不平不満をつぶやくことにしている。


腹黒になることで、わたしはわたしなりにストレスを発散させているのかもしれない。


さらっと聞き流せたら一番なんだけど。

それは、できそうにない。


「まぁまぁ2人とも。貸してくれたんだから、いいじゃん?」


……〝女王様〟の一声で、

愛美と菜々が大人しくなる。


「ノート借りてきてくれてありがとう」

「なんのこれしき。エリカの頼みだもんっ」


嬉しそうに愛美が返事する。


「牧野、絶対今日あたしのこと当ててくると思うんだよね」


牧野とは英語を担当する40くらいの女性教諭だ。


たいてい『今日は1日だから出席番号1番の浅井くん』といったようなあて方をするため、事前に誰が当たりそうだと予測できる。