素子と狼谷と雅人が去り

部屋に、ポツリと残された銀髪の少年。


「いったいなぁ……。あの速さも、正確さも。まあ普通じゃないよね」


手に持つナイフを蹴り弾き飛ばされた衝撃で手首を痛めたが、少年はそんなことよりも気になっていることがあった。


「〝カミヤ〟って言ってなかった?」


フハハ、と笑ってベッドに寝転がる。


「まさか……“あの“?」


ビデオカメラを覗き込み、撮影したばかりの映像を再生させる。


そこにうつるフルフェイスのヘルメットをかぶる黒スーツの男を眺め、少年は、不敵な笑みを浮かべた。


「キョーシって言ってたよね。……ふぅん。こんなのがセンセイやってんだ。ウケる。あはは」


暫くその部屋には不気味な笑い声が響いた。