「立って!」


「む、むり...」


ちえみは床に手を付いたまま立ち上がれないでいた。

腰の力が抜けてるようだった。


人体模型は刀を上に振りかざしながらちえみに近づいていく。


ルナは1つの覚悟を決めるとちえみを庇うように覆い被さった。


それと同時に人体模型が大きく刀を振りかぶった。


ルナはぎゅっと目を瞑り、痛みが来るのを待っていた。

しかし、いくら待てど、痛みはこない。


ゆっくり目を開けてみる。


そこにはほんの数cm頭上で止まっている刀。


「......え...?......どう...なって...」

「お時間を守るのは基礎マナーですよ、姫」


あれ...この声何処かで......

風が吹いてカーテンが巻き上がる。

外の光で人体模型の背後にいる黒服に身を包む者。